孤独と戦える男・上原浩治。そのすごさを物語るエピソード
BEST TIMES世代の憧れ、そのすごさの秘密とは
■なぜ、ひとりで自主トレをするのか
自主トレ、というとチームの垣根を超えた選手たちが集まって、トレーニングをする姿を想像するだろう。
しかし、上原投手の場合、最少人数だ。プロ選手は上原投手ひとりのことだってある。メジャー時代、BEST TIMESの連載30問30答でその理由を聞いたことがある。以下、少し長くなるが抜粋をしたい。
――自主トレというと仲の良い選手や師弟関係のある選手が集ってやるイメージがあるのですが、上原さんはなぜひとりで行うのですか?
ずっとひとりというわけではないですよ。3年前(当時)から、小川(泰弘/ヤクルト・スワローズ)と一緒にやっています。それでも少ない方ですかね。
人数が多い方がいろんな練習ができるとか、楽しくすることもできるというようなメリットはあると思いますけど、僕には自分のペースでやりたいようにやることが合っている。
ただ、メジャーに関して言えば自主トレを集まってする選手はいないですよ。
――そうなんですか?
はい。イチローさんとか青木宣親もそうですよね。基本的にはひとりでやるのが自主トレだと思います。
――なるほど。実際、ひとりでやるのが合っているというのはなぜでしょうか?
うーん、やっぱり僕らの本番である試合というのは、つねにひとりだからじゃないですかね。もちろん投手の場合は、キャッチャーがいて、後ろには7人の野手がいてくれた状態で投げるわけですけど、彼らは直接的にはバッターと勝負できないじゃないですか。
それは結局、試合ではだれも助けてくれないということなんだと思うんですよ。これはバッターから見ても同じですよね。バッターボックスではだれも助けることができない。
――なるほど。
グラウンドにいるときってだれも助けてくれない、つねに自分と戦わなければいけない状態なわけですから、自主トレって単なるトレーニングじゃなくてそういう状況におけるトレーニングでもあるんじゃないかなと思ってやっていますね。
――自主トレも自分との戦いに勝つ、トレーニング。
そうですね。
それに人数が少ない方が、自分でやりたいことができるって言いましたけど、それは自分で考えるってことでもありますからね。トレーナーの人には来てもらっていますけど、基本的にどういう目的のために、どういうトレーニングをするのかっていうのは自分で考えなければいけない。
そういうこともふくめて僕は少ない方が合っているということです。
――つらくはないんでしょうか。